2019年3月28日木曜日

デイ利用を“社会参加の手段”にする

【地域連携拠点としての機能】

デイサービスでは、ご利用者の「過去」「現在」「未来」という人生の過ごし方のニーズをアセスメントし、家庭や地域における生活の充実を視野にサービスを提供することが期待されています。

また、ご利用者自身にも具体的にイメージできていない近未来の「活動」と「参加」の姿をアセスメントを通して共に形づくり、モニタリングによって実現に向けて具体化させていきます。

デイサービスの利用はあくまでもご利用者の在宅や地域での「活動」と「参加」を促進するための手段であり、通過点であって決して目的地ではありません。

デイサービスの先にご利用者の活躍の場が広がっていくために、地域連携拠点としての機能が期待されているのです。

しかし、ご利用者が新規でデイを利用する時に初めてお会いしただけでは、適切なアセスメントを真摯に行おうと努めても初回では、ご利用者のより自立したイメージや活躍の姿を思い描けないこともあるはずです。

そこは、集団の中での相互作用から主体性が発揮されるデイサービスならではの力を利用して、対象者との交流の手がかりを見つけ、アセスメントを繰り返し、対象者の思いをカタチにすることにトコトン付き合うことで、その時々のオンリーワンの目標を見出し、目標達成に近づきます。

それが、在宅・地域での役割発揮につながります。

施設・事業所内の環境への働きかけにとどまらず、家庭や地域の人的・物的資源を熟知して、知的探求心と創意工夫とで地域連携拠点としての機能を磨き、適宜ご利用者の進むべき道を開拓していくことが求められています。

デイサービスはご利用者の目標達成のための一手段に過ぎず、ご利用者が家庭や地域でその能力を発揮することができれば、役目を終えていくのです。

それは同時に社会における地域資源としての「誇り」でもあります。
  
(デイと介護の経営と運営Vol.32 「生活相談員の役割と鍛えるべき力 著渡邉 明子(株式会社楓の風)」より一部抜粋・引用)

■デイと介護の経営と運営
https://daybook.jp/keiei.html

■在宅療養支援 楓の風
http://www.kaedenokaze.com/ 

【デイの「活動」と「参加」の推進について学ぶならこちら】
https://www.tsuusho.com/active_participation/

2019年3月27日水曜日

「動作を限定して反復練習をする」ことと「どうしたらできるか」を考え、工夫する


漠然とトレーニングを行うのではなく、ある程度動作を限定した訓練を行うことが維持・改善につながります。

例えば、「一人でご飯を炊いて、一品おかずを作れるようになりたい」と目標を立てている方がいるとします。

米研ぎ・炊飯動作が不十分、料理をするのに立っておくのに必用な体力が不足している方にいきなり「野菜炒めの練習をしましょう」とは言いませんよね。

自宅でも安全に行える動作から練習していかなければ、動作の獲得にはつながりません。

上記のケースでは、ご飯を炊く手順(①米櫃から米を出す→②米を出す→③米を研ぐ→④研ぎ汁を流す→⑤水分量を計測する→⑥炊飯釜を持ち上げる→⑦炊飯のスイッチを入れる など)の中で困っている動作を限定し、「プログラム」「道具」「環境」を考えます。



動作・活動の全体ではなく、限定した動作・活動を練習することで、維持・向上につながりやすくなります。

「病気のせいでできない…」「腰が痛くなるからできない…」とやる前から【できない】と決めつけておられる方がいます。

ご自身の経験からそのように推測されることはよく分かりますが、道具や環境を整え、手順を確認し反復して動作訓練をすることで実際にやってみたらできることはたくさんあります。

まずは、「できない!」を「どうしたらできる?」という思考に考えていくための工夫が必要になります。

支える側もできる事に着目し、対象者一人ひとりに合ったADL・IADL訓練の提供を心掛け、向上したADL・IADL能力は多職種連携で共有していくことで、能力が継続でき、自立支援につながります。


ご利用者の活動と参加を生み出すためのアセスメント方法が学べる研修はこちらからご覧いただけます。

【デイがすべき本来の役割と活動・参加充実化セミナー】
https://www.tsuusho.com/active_participation/

2019年3月26日火曜日

やっていたADL・IADLができなくなったら「どうすればできるようになるのか」を考える

ADL・IADLを維持・改善するためには、現在やっている活動や少し前までやっていた活動の練習や類似訓練を行うことが、最も効果的です。

「人の脳や筋力は使わないと低下してしまう」と言われており、これは日常生活動作においても同じです。

やっていたADL・IADLができなくなったら「どのようにしたら一人でできるようになるのか」を一緒に考えて練習できることが、通所介護の強みです。

しかし、

「ヘルパーさんがやってくれるからいいですよ」

ご利用者からこんな言葉をかけられる場面、少なからずあるはずです。

そんな時は「手伝ってもらうことのデメリット」と「自分でできることのメリット」を比較し、どちらが自分らしい生活に近づくのかを一緒に考えていくことも一つの手段です。


現状を可視化して伝えることで、自分の生活を考えるきっかけになり、自分でできたほうが生活しやすくなるというメリットを再認識してもらうもらうことで、ADL・IADL訓練への参加につながりやすくなります。



ご利用者の活動と参加を生み出すためのアセスメント方法が学べる研修はこちらからご覧いただけます。

【デイがすべき本来の役割と活動・参加充実化セミナー】
https://www.tsuusho.com/active_participation/

2019年3月21日木曜日

目標の考え方

介護現場でのケアの流れは、「アセスメント」→「計画」→「実施」→「評価」の流れに沿って行われます。

その中で、サービスを提供する従事者は、その人の生活を充実させる目標を立て、それを達成するというケアの基本「目標指向型アプローチ」を忘れずサービスを提供しなければなりません。

目標が変われば、ケアの内容も変わり、その後の本人の生活・人生も変化します。

目標は介護の中核を成すとても重要なものです。
したがって、きちんとした具体的な目標を立てることが必須となります。

みなさんが立てている目標は下記のように「あいまい」になっていませんか?
心当たりがある方は、ぜひ見直してください。

【日本通所ケア研究会】


有意味なモニタリングを行うためには…

 
モニタリングを書類仕事にしない! 
「モニタリングなくして目標達成に導くことは不可能」

モニタリングは、ご利用者本人への働きかけに留まらず、目標達成に向かうスタッフや家族、ケアマネジャーを巻き込んだ「モチベーション維持と向上」のために必要です。

「モニタリングは繰り返し書類を作成しなければならない機械的で面倒な作業」「指導・監査対策として書類を残すためにやらなければならない形式的な作業」と思っているならば、考え方を改めなければなりません。

ご利用者自身が目標を達成する主体になっていくためにも、モニタリングは定期的に繰り返され、リハビリテーションや機能訓練の成果や生活の変化、目標の達成度を相互で確認し語り合うことで、目標達成へのプロセスが意識されるようになります。

モニタリングが「著変なし」「維持」などと書類に記入するだけの机上の仕事になってしまうとモニタリングの持つ力を十分に発揮することはできません。

モニタリングをご利用者と共に行ってこそ、ご利用者と目標達成に向けてのプロセスの確認や成果を共有でき、有意味なモニタリングになるのです。

ただ「お変わりはありませんか?」と様子を問いかけるだけでは「特に変わりないよ」と返答されご利用者だけの主観評価のみでモニタリングが終了してしまいます。

その期間内にあったご利用者が忘れてしまっているエピソードやご利用者の感じられていない専門職の手応えなどを投げかけていくことで、ご利用者の生活の変化に対する感受性と目標達成への進捗を高めていくことに近づきます。

小さな生活の変化や手応えを共に喜び合うプロセスの場としてモニタリングがあるからこそ、目標達成のための意欲とやりがいがご利用者とスタッフに育っていきます。

適切なアセスメントによってご利用者固有の生活のあり様を具体的に捉え、目標設定することから出発できているならば、モニタリングにおいて「お変わりなし」や「著変なし」という言葉を使うことなく、どんな些細な変化であってもそれを有意味とらえることができるようになっていくでしょう。

(デイと介護の経営と運営Vol.31 「生活相談員の役割と鍛えるべき力 著渡邉 明子(株式会社楓の風)」より一部抜粋)

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【適切なアセスメントによって自立を引き出す支援について学ぶなら こちら】
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2019年3月20日水曜日

4月からの「働き方改革」で変わります…【年次有給休暇取得の義務化】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

毎年5日間の有給休暇取得を義務化
介護職員の4割以上が有給休暇を取得できていない現状をどうするか…
これまでは有給休暇の取得は本人に任されており、1日も休まないことも可能でしたが、2019年4月以降は最低5日間の休暇を従業員に取らせないと労働基準法違反となります。違反した場合は会社に対し、6ヶ月以下の懲役または一人当たり最大30万円以下の罰金が科せられます。従業員への罰則はありません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

年間有給休暇消化日数が5日未満の従業員に対し、有給休暇を取得すべき日を会社が指定する

2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法案」により、2019年4月1日からすべての会社の雇用主は10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日間、年次有給休暇を取得させることが義務付けられました。従業員が自ら取得した休暇や、「計画的付与制度」による休暇を合計して5日に満たない場合は、その残りの日数について従業員の意向を聞いた上で、事前に「◯月◯日に休暇を取得してください」と指示をすることが必要になります。

【対象者】
・入社後6ヶ月以上経過している正社員、またはフルタイムの契約社員
・入社後3年半以上経過している週4日出勤のパートタイム社員
・入社後5年半以上経過している週3日出勤のパートタイム社員


【有給習得義務に向けての対策】
① 誰が休んでも支障が出ない体制づくり
② 休みやすい雰囲気づくり
③ 人材不足の解消→シニア世代の活躍

法人としては、上記のような従業員がより働きやすい環境を作り、有給休暇の取得率を上げていくことが重要となります。

■働き方改革を利用した人事考課制度再考セミナーはこちら
https://www.tsuusho.com/personnel_evaluation/

2019年3月19日火曜日

リハビリテーションとは

【リハビリテーションの誤った理解】
昨今、リハビリテーションという言葉をよく現場では耳にするようになりましたが、誤った理解をされている方が多いようです。

【誤った理解例①】
リハビリ = 機能訓練
 リハビリとは、機能訓練(特にベッドでの訓練)、歩行訓練をすることだと思っている。


【誤った理解例②】
リハビリ = 自分でする/訓練

リハビリとは、何でも自分でさせること、厳しい不可をかけるトレーニングだと思っている。

【リハビリテーションとは】
リハビリテーションとは単に機能訓練のことを指すのではなく、身体的・精神的・社会的な部分を抱合する大きな概念です。

■米国リハビリテーション評議会の定義
リハビリテーションとは、障害を受けた者を彼の成し得る最大の身体的・精神的・社会定期・職業的・経済的な能力を有するまでに回復させることである

■WHO
リハビリテーションとは、能力障害あるいは社会的不利を起こす諸条件の悪影響を減少させ、障害者の社会的統合を実現することを目指すあらゆる手段を含む。さらにリハビリテーションは障害者が環境に適合するための訓練を行うだけでなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。

■厚生白書
リハビリテーションとは、障害者が一人の人間として、その障害にも関わらず人間らしく生きることができるようにするための技術及び社会的、政策的対応の総合的体系であり、単に運動障害の機能回復訓練の分野だけをいうのではない。

■国連・障害者に関する世界行動計画
リハビリテーションとは、身体的、精神的かつ社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ時間を限定したプロセスである。

上記の視点を踏まえて、介護現場や生活期リハビリテーションに携わる従事者はは何に主眼を向けていけばよいのか今一度再考してみましょう。

【生活機能の維持・改善に向けた実践的な取り組みを学ぶならこちら】
https://www.tsuusho.com/active_participation/

2019年3月18日月曜日

「適切なアセスメント」とは?

大切なのは、その人の人生や魅力を引き出す視点


アセスメントというと、問題や課題を抽出するために調査シートを上から順に聞き取りしていく、一方的かつ事務的な作業のように考えられていることが多いかもしれません。
しかし、私たちが行うべ「適切なアセスメント」は、過去から未来へ向かって続いていく利用者の「人生の過ごし方」希望までを含みます。

アセスメントは、病気や障害によって成しえなかった夢や希望を語り合うことができるようになるための、大切な人と人との出会いの場面であるので、書類上の機械的な作業におとしめてはなりません。

 アセスメントを行うときに大切なのは、問題や課題を抽出し治療解決をはかる視点だけでなく、その人の人生や人となりを感じ、魅力を見出す視点を併せ持つことです。

問題や課題はそれだけで一面的に切り取られるべきものではなく、長い人生の中でどのように意味づけられるものなのか感じとらえることが大切です。

(デイと介護の経営と運営Vol.30 「生活相談員の役割と鍛えるべき力 著渡邉 明子(株式会社楓の風)」より)

■デイと介護の経営と運営
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■在宅療養支援 楓の風
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【適切なアセスメントによって自立を引き出す支援について学ぶなら こちら】
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2019年3月14日木曜日

誤嚥リスクの確認

誤嚥を引き起こしている原因を理解できなければ、「今起こっている」「これから起こりうる」リスクに対応することはできません。

【リスクマネジメント】

①局所所見と身体所見における誤嚥リスクの確認
→摂食・嚥下の5期 (先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)のどの場面で異常があるか評価する
→身体機能が摂食嚥下機能にどのように関連しているか理解することで、誤嚥予防の適切なシーティングやポジショニング設定につながる

②誤嚥しても誤嚥性肺炎を起こさない体づくり
→「むせる」ことができる筋力
→口腔内を清潔に保つ
→十分な栄養摂取で免疫機能が高まる
→咽頭の可動域、舌骨の可動域の確認
→反復唾液嚥下テストにより嚥下スクリーニング

③食事前の確認事項
→意識
→口腔内汚染
→ポジショニング・シーティング
→食事への注意の向き方
→食事形態
→トロミ
→一口量
→嚥下反射後の次の一口

■もっと詳しく知りたい方は【リハージュ vol5】よりご確認いただけます。
https://daybook.jp/rehaje_bkno1

■実際に学びたい方はこちら
https://www.tsuusho.com/swallowing/

2019年3月13日水曜日

認知症理解の8大法則・1原則

杉山孝博氏(川崎幸クリニック 院長)は、「認知症をよく理解するための8大法則・1原則」として下記の内容を提唱しています。

【第1法則:記憶障害に関する法則】
■記銘力低下
→話したことも、見たことも、行ったことも直後に忘れてしまうほどのひどい物忘れ

■全体記憶の障害
→食べたことなど、体験したこと全体を忘れてしまう

■記憶の逆行性喪失
→現在から過去にさかのぼって忘れていくのが特徴
 

【第2法則:症状の出現強度に関する法則】

より身近な者に対して認知症の症状がより強く出る

【第3法則:自己有利の法則】
自分にとって不利なことは認めない

【第4法則:まだら症状の法則】
正常な部分と認知症として理解すべき部分とが混在する。初期から末期まで通してみられる。
 
【第5法則:感情残像の法則】
言ったり、聞いたり、行ったことはすぐ忘れる(記銘力低下の特徴)が、感情は残像のように残る。理性の世界から感情の世界へ。
A:ほめる、感謝する
B:相槌をうつ
C:共感(「よかったね」を付け加える)
D:謝る、事実でなくても認める、嘘をつく(悪役を演じる俳優の気持ちで)


【第6法則:こだわりの法則】
ひとつのことにいつまでもこだわり続ける。説得や否定はこだわりを強めるのみ。本人が安心できるようにもっていくことが大切。
A:そのままにしておく
B:第三者に登場してもらう
C:場面転換をする
D:地域の協力、理解を得る
E:一手だけ先手を打つ
F:お年寄りの過去を知る
G:長期間は続かないと割り切る


【第7法則:認知症の症状の了解可能性に関する法則】
老年期の機能低下の特性から全ての認知症の症状が理解・説明できる

【第8法則:衰弱の進行に関する法則】
認知症の人の老化の速度は非常に早く、認知症になっていない人の約3倍のスピード。
 
【介護に関する原則】
認知症の人の形成している世界を理解し、大切にする。その世界と現実とのギャップを感じさせないようにする。

<認知症ケアについて深く学ぶならこちら>
https://www.tsuusho.com/ninchisyokea/

2019年3月12日火曜日

嚥下訓練としての唾液腺マッサージ


①耳下腺(じかせん)マッサージ
→親指以外の4本の指を頬に当て、上の奥歯あたりを後ろから前へ向かって、10回ゆっかりと回す。




②顎下腺(がくかせん)マッサージ
→親指を顎下の骨の内側の柔らかい部分に当て、耳の下から顎の下まで5カ所ほどを1カ所につき5回ずつ押す。



③舌下腺(ぜっかせん)マッサージ
→両手の親指を揃え、顎の真下から舌を押し上げるようにグーっと10回押す。


唾液が出てくるのが実感できましたか??

 【摂食・嚥下へのアプローチを学ぶならこちら】
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2019年3月11日月曜日

こんな介護は改善しよう


下記は介護現場で問題とされる介護です。
多くは職員中心・プログラム中心でご利用者不在の中、自分たちの都合に合わせて自分たちが楽になるように考えて行われているものです。
介護は「ご利用者の自立支援のため」に行われるべきものです。
今一度、現場ケアを見直していきましょう。

 →嚥下障害があって食事時間も長くかかる人に対して、ごはんやおかず、汁物を混ぜたり、薬を混ぜて食べさせる。

  →ご利用者が集まる前に配膳を済ませておき、いざ食べようとしたらご飯もみそ汁もすっかり冷めている。

  →食事時間が長くなると自分たちの休憩時間が無くなったり、後片付けが大変だったりするので、強制的にどんどん食べさせる。


   →ご利用者のことはほったらかしで職員同士で私語をしながら、食事介助をしている。

  →ビニールのエプロン姿がずらり!エプロンに落ちた食べ物は、最後にまとめて利用者の口へ…。

→職員だけ楽しそうにテレビを見ながら食事介助をしている。

→ご飯にみそ汁、卵焼きが一つとキャベツの千切り、たくあん2切れ。実際にあるデイで提供されていた食事(本人の希望でなく、全員一律)です。

  
→食事中のご利用者の後ろで職員が腕を組んで監視。

【日頃の現場ケアを見なすなら…日本通所ケア研究会】

生きがいを感じさせるアプローチのポイントと達成感を高めるための褒めるポイント

高齢になると役割や生きがいは減少する傾向にありますが、ちょっとした支援があれば役割と生きがいの増加・充足ができます。
人には、年代に応じた様々な役割があり、その中に生きがいが存在します。張り合いのあることや、自己のアイデンティティを認識できる仕事や趣味など人生において役割と生きがいは密接に関係しています。
病気や加齢で心身機能の低下を余儀なくされた場合、役割と生きがいの量は減少し、生活意欲は低下していきます。
その状態でリハビリテーションや機能訓練を行っても、生きる意味や価値を見出すことができず、訓練の効果は十分に期待できません。

【生きがいを感じさせるアプローチのポイント】

① 目標の達成、目標に向かって行動する
→達成感や充実感を得る

② 人に受け入れてもらう
→身体・精神的な状態を他者に理解してもらう

③ 行動に自信を持つ
→肯定的な声かけ、成功体験が得られるような訓練内容


【褒めるポイント】
■ 適切な行動をしたら褒める
■ 行動が起こったらすぐに具体的に褒める
■ 褒める量は少しずつ減らしていく
  (褒めすぎると依存心が高まり、次の課題へ移行しづらくなる)
■ 行動を記録して示す
  (歩行回数など徐々に増えている成果に対して褒め、達成感につなげる)

引用文献 リハージュVol.7「生きがいを理解し、達成感を得られるよう目標を設定」
https://daybook.jp/rehaje

生きがいを感じてもらうアプローチがたくさん学べる研修はこちら
https://www.tsuusho.com/rec100/

2019年3月8日金曜日

失語・失認・失行・実行機能障害とは②

目の前にペットボトルに入ったお茶があるとします。

認識できているのに「お茶」という名前が出てこないのは失語です。

目で見ているのに「お茶」だと分からないのは失認です。

麻痺などもなく自由に指先が動くにも関わらず、フタを開けられないのは失行です。

自動販売機でお茶を買う時、お金を入れた後に商品ボタンを押していないのに、取り出し口を探してしまうような場合は実行機能障害です。

【実践!認知症ケア研修会2019】
https://www.tsuusho.com/ninchisyokea/

失語・失認・失行・実行機能障害とは①

若い時は、たくさんの情報から大切な情報を選んで覚えたり、無駄な情報は覚えないようにすることができます。

ところが、年を取ると、情報がつかまえにくくなり、大切なことを覚えるのに時間がかかるようになります。

さらに認知症になると、情報がつかまえられなくなり、大切なことが覚えられなくなります。そのため、「5分前に聞いたことでも覚えられない」ということも多く、何度も同じことを聞きに来られる人もいるのです。

そして、認知症が進行すると、「覚えられない」だけでなく「覚えたことを忘れてしまう」ようになります。

今まで覚えてきた大事なことをポロポロと忘れていく…それが認知症の特徴です。

ただし、ここで忘れていけないのは、「何もかも忘れるわけではない」ということです。

認知症の人に対して「ぼけたら何も分からなくなるから本人は幸せだ」と考えている時代がありました。

しかし、「何も分からなくなるわではなく、分かりにくくなるだけ。分かることもたくさんある」ということを忘れないでください。

【実践!認知症ケア研修会2019】
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2019年3月7日木曜日

摂食過程で異常を起こした場合の症状例


(1)認知期
・食べ物をみても反応がない
・食べ物で遊ぶ
・食べ物を混ぜたり、ぐちゃぐちゃにしたりする
・食べ物を捨てる

(2)先行期
・保続(同じものを食べ続ける)
・過剰取り込み(一度にたくさん口に入れ過ぎる)
・取り込む食物量のバランスが悪い(味が濃いものでもたくさん食べてしまう)

(3)取り込み期
・箸などで食べ物が取れない
・途中でこぼれる
・口から外れてこぼれる
・疲れる

(4)補食期
・口を開かない
・口から外れてこぼれる
・唇に当たってこぼれる
・唇でうまくつかめない

(5)咀嚼期
・食べ物が噛めない
・食べ物をすりつぶせない
・食べ物をいつまでも噛み続ける
・食べ物が口からこぼれる

(6)食塊形成期
・食べ物をいつまでも噛み続ける
・食べ物を口から出してしまう
・食べ物が口の中に残る
・食べ物が口からこぼれる

(7)嚥下口腔期
・食べ物をいつまでも噛み続ける
・食べ物が口の中に残る
・食べ物がこぼれる
・食べ物が鼻から出る

(8)嚥下咽頭期
・食べ物が鼻から出る
・むせる
・声が変わる
・のどがゼロゼロという

(9)嚥下食道期
・食塊が食道内を通過できない
・いったん胃に入った食塊が逆流する
・飲み込んだあとにむせる

【摂食・嚥下へのアプローチをもっと具体的に学ぶならこちら】
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2019年3月5日火曜日

口腔ケアの効果

口腔ケアは若いころから習慣化することが大切ですが、高齢期からでも手遅れということはありません。口腔内は37℃前後に保たれているため、温度や唾液により潤される湿度、食物の残りかすによる栄養の3条件がそろい、多くの細菌が繁殖しやすくなります。
そのため、日常的に口腔内を清潔に保つことが必要になります。口腔ケアは生活面や医学的効果だけでなく、心理面にも重要な影響を与えます。



<効果>
① 義歯の確認
→義歯を取り外して洗浄することで、不具合の確認をします。咀嚼力にも影響を及ぼします。義歯の装着は表情も豊かにします。

② 口臭予防
→口臭対策や予防は口の中を清潔にすることが基本です。これは良好な対人関係づくりにもつながります。

③ 口内炎の予防と治療
→義歯の不具合や汚れも原因のひとつです。うがいなどで治りを早めます。

④ 口腔内の乾燥予防
→唾液の分泌を促して乾燥を抑えます。

⑤ 自浄作用の向上
→唾液の分泌を促して口の中の清潔を保ちます。

⑥ 爽快感
→気分を爽快にし、食欲も増進します。

⑦ 舌苔の除去
→舌の汚れや細菌を取り除き、口臭予防や正常な味覚を保ちます。

⑧ 歯周病の予防
→歯を支える組織が細菌に侵される病気です。歯を失う原因のトップは歯周病です。食べたら磨く習慣が歯周病を予防します。

⑨ 誤嚥性肺炎の予防
→食べかすや細菌を含んだ唾液の誤嚥を防ぎます。

⑩ 食物の残りかすの除去
→ブラッシングやうがいによって食物の残りかすを取り除き、細菌の繁殖を抑えます。

【摂食・嚥下など口腔に関することを学ぶならこちら】
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