(言語聴覚士 竹田 誠介様より)
【誤嚥を引き起こす疾患の確認】
摂食嚥下機能の評価を進めていく際に、多くの場合、誤嚥が起こり始めたきっかけがあり、対象者・家族は、漠然とした不安を抱えながら、試行錯誤されてきた経緯があります。誤嚥が「いつから」・「どんな環境で」・「どのように」・「どのくらい」起こったのか聴取していくことは、誤嚥の原因を見つけることにつながり、誤嚥を予防していく一助となると思います。
誤嚥を引き起こす疾患について知っておくことで、「今起こっている症状はどのような症状で、今後、どのような症状が起りうるか」予測することができ、対応方法や予防策を速やかに導きだすことができます。
【食事状況と食事環境の確認】
誤嚥をするということは何らかの摂食嚥下障害があるということです。例えば、パーキンソン病の嚥下機能は病状が重症であるほど悪い傾向にあります。また嚥下障害の自覚に乏しく、不顕性誤嚥も多いといわれています。
ご家族様は今の状況を「伝えたい。分かってほしい。どうにかしてほしい。」と思っている。まずは傾聴し、受け止める。次に間違っていても何か工夫されていれば称賛し、ねぎらうことが大切
【誤嚥のリスクを分かりやすく伝えて、理解してもらう】
対象者・ご家族や関連職種への食事指導において「嚥下と誤嚥の仕組み」と「誤嚥への対応方法」を出来るだけ分かりやすく説明し、理解してもらうことは大切です。誤嚥のリスクに対する理解が不十分であると対応方法も不十分になります。摂食嚥下の一連の流れでは、目では見えない部分が多くあります。どのように「ごっくん」が行われているかを工夫して説明することは、見えない部分をイメージすることができ、誤嚥に対しての理解が深まり、リスクに気付きやすくなります。
どのように「ごっくん」が行われているか立体的に摂食嚥下の一連の流れを」分かりやすく説明
【誤嚥しても誤嚥性肺炎を起こさない体作り】
対象者・家族は「誤嚥=誤嚥性肺炎になる」と過度な不安を抱く場合がありますが、すぐに誤嚥性肺炎になるわけではありません。むせることができる筋力があれば、誤嚥した食べ物は気管から喀出されます。口の中を常に清潔に保つと、食べ物と一緒に口腔内の細菌を誤嚥するリスクは減り、十分に栄養を摂取することで、免疫機能が高まり、細菌感染を起こしにくい体になります。つまり、身体機能・口腔衛生・栄養も重要な要素です。誤嚥のリスクマネジメントには言語聴覚士だけでなく、多職種と連携して対応していくことが誤嚥性肺炎の予防につながります。
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