2019年5月17日金曜日

座位に関する困りごと


高齢者によくみられる「ずっこけ」や「傾き」などの各症状に、評価のポイントやシーティングのコツを紹介します。
シーティングに対する考え方はさまざまあり、対象者の状態も千差万別ですので、「これが正解」というものはありません。
目の前の方の状態を評価し、原因を探ってみましょう。
 

介護現場でよく見られる座位に関する困りごとと、それに対応するためのヒント

【困りごと】
  1. ドスンと勢いよく座ってしまう
  2. イスに座る際、お尻の位置がずれてしまう
  3. 長時間座っていると下肢がむくむ
  4. 作業中に座位を長く保てない
  5. ふらつきや転倒が起こる
  6. イスや車イスに座ると身体が傾いてしまう

<ドスンと勢いよく座ってしまう>
■考えられる原因
  • 重心がかかとにかかっている
→かかとに重心がかかっていると勢いをつけた座り方になりやすい
筋力の低下

<イスに座る際、お尻の位置がずれてしまう>
■考えられる原因
  • 自己身体と環境認知能力の低下
→自分の身体や自分の周りの環境に対する認識がうまくできていないと、イスにきちんと座れず、「イスから転落」「イスや机の脚にぶつかったり、足がひっかかったりする」などが起こりやすくなる


<長時間座っていると下肢がむくむ>
■考えられる原因
  • 足の運動不足
→長時間座っていると身体の同じ箇所が圧迫されて血流の循環が悪くなる。高齢者は特に筋力低下によってふくらはぎのポンプ機能が弱まっているため下肢がむくみやすい

<作業中に座位を長く保てない>

■考えられる原因
  • 体力の低下
→どのような時にどのくらいの時間、座位保持が必要なのか検討・評価し座位保持の時間を延ばせるのかプランを立てる
  • 身体に痛みがある
→「いつから」「きっかけ」「痛みの強さ」「痛みの種類」「日常生活に影響があるのか」「痛み軽減と増悪のタイミング」などを評価する

※一見、体力や痛みの問題だと思われる場合でも、「車イスが合わない」「身体に圧がかかっている」など、実際は違うことが原因で座位時間が制限される場合があります。対象者が楽に座位姿勢が取れているか評価することが重要

<ふらつきや転倒が起こる>
■考えられる原因
  • 座位の時間が長い
→長時間座位姿勢でいると立ち上がった際のふらつきの原因となる。座りすぎは下肢機能を低下させるほか、褥瘡・痛みの発生など健康にも悪影響を起こす場合があるので注意が必要
  • 転倒しやすい身体状況である
→転倒原因を分析し把握する
(例)感覚機能、高次脳機能、姿勢反射、バランス能力、運動機能、病気・薬の影響など

<イスや車イスに座ると身体が傾いてしまう>
■考えられる原因
  • 身体の寸法に車イスが合っていない
→サイズなどが身体に合っていないと姿勢を保てずに身体が傾く
座り直しができない
  • 半空間無視がある
→高次脳機能障害により、片側にあるもなどに気付かない、認識できない症状があるため、座位が片側に傾いてしまう

具体的なプログラムや対応についてはこちらをご覧ください

【月刊デイ 2019.7月号 特集「座位の問題解決します!」
https://daybook.jp/day.html

【リハージュ ムック本「とことんシーティング」】
https://www.qolservice.co.jp/rehajeadvertisement/

【日本通所ケア研究会】
https://www.tsuusho.com/

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