介護人材の国際争奪戦
今後各国で同時多発的に介護ニーズが高まり、生産年齢人口が減少するため、世界規模での介護職争奪激化が始まります。
この際、求職者側としての一番のポイントは、手取り収入です。
すでに日本の手取り収入は、韓国や中国に負けている分野も出てきました。
月額賃金でも、差が縮まってきています。
また、日本語は「漢字」「ひらがな」「カタカナ」があり、文法も複雑なため、「言葉」の面でも不利です。同程度の収入・手取りなら学習の苦労が少ない国を選ぶでしょう。
国内他産業との争奪戦
他の国との争奪戦を経て、日本を選んでくれた貴重な人材に対し、今度は、国内の多くの産業間で争奪戦が行われます。
介護の生活援助と非常に業務が似ている「家事支援員」では、特区事業として外国人家事支援人材の受け入れがすでに始まっています。
家事支援員は、介護よりも求められる日本語レベルも低く、就業しやすい環境にありますが在留期間が3年と短く、応募が少ないため、5年に延長することが検討されています。
そうすると、介護での技能実習などとの競合も激化するでしょう。
また、各地でおなじみのファーストフード店では時給1500円でアルバイトを募集していました。
参入の難易度も就業中の難易度も高い介護とファーストフードのバイトではどちらを選ぶでしょうか。
地域内での争奪戦
外国人従事者が自分たちの地域に来てくれることになっても、最後には地域内での争奪戦が待っています。現在、全産業統計では、外国人雇用は、規模が小さい事業所ほど多くなっています。
小規模事業所は、離職率が低いところも多いのですが離職率が高いところも多く、離職率が高いところは、人手不足から外国人従事者を雇用する場合も多いようです。
技能実習生は、実習場所を変えることができないため、劣悪な環境下で従事させる場合もあり、社会的な問題となっています。
同じような現象が介護分野で発生すると、日本に来る外国人、介護分野で働く外国人は減っていく一方になるでしょう。
技能実習生から特定技能に移行すると、職場の移動が可能になります。3年間の指導でようやく現場で通用する介護職になったと思ったら、処遇の良い他の施設に移られてしまうことが多発するでしょう。
地域内での事業所間争奪戦が激化していきます。
その結果…
各国で介護者ニーズが高まりますが、中国はその数がとても大きく、また、中級~富裕層の数も増加していき、自費で介護職を雇う世帯が増えるでしょう。10年前、上海の介護施設で一番の問題となっていたのが「職員不足」です。
10年前でその状態だったので、現在はもっと人材不足が進んでいるのではないでしょうか。
中国が必要とする介護人材の数は、莫大なものになるでしょう。
また、生産年齢人口が増加するインド、フィリピンの国民は、英語が比較的得意です。
そうすると、賃金の高い、オセアニア、カナダ、シンガポールなどで仕事を選ぶかもしれません。
地理的不利、言語的不利な立場にある日本の立場は、ますます弱くなっていきます。
外国人従事者が日本の介護を選ばなくなることは、それほど低い確率ではありません。外国人従事者に依存する人員体制を構築してしまうと、事業が運営できなくなってしまう恐れがあるというリスクも承知しておく必要があるでしょう。
それを避けるためには、これから外国人従事者を受け入れる各職場が、外国人従事者の待遇を良くすることにつきます。
お互いの法人で、注目し合いながら、切磋琢磨しつつ待遇向上を目指す必要があります。厚生労働省も、さまざまな支援を準備していますのでこれらの有効活用を図ることも必要です。
<外国人人材の採用について学ぶ>
https://www.tsuusho.com/meeting/seminar/
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